どうも節約・投資担当の「つみたてにいさん」です。
投資信託だけではなく、個別株投資にも興味があるけど、株式投資における独特の用語(個人的に「株語」と名付けます。)がわからないという人は一定数おられるかと思います。
株を知るためには「株語」の習得が不可欠!!ということで分かりやすく用語を解説することを目的とした「株語講座」の第4回として「ミックス係数」を紹介してみたいと思います。
「ミックス係数」とは何か?
「ミックス係数」はアメリカの経済学者ベンジャミン・グレアムが提唱したバリュー株を見つける判断基準としての指数で別名「グレアム指数」とも言われます。
ベンジャミン・グレアムは経済学者でもあり「バリュー投資の父」「ウォール・ストリートの最長老」とも呼ばれるプロの投資家でもあります。ちなみに投資をする人なら一度は名前を聞いたことがあるかもしれませんが、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主ウォーレン・バフェットの投資の師匠でもあります。
「ミックス係数」で何がわかるの?
「ミックス係数」はバリュー株を見つける判断基準としての指数です。つまり「ミックス係数」は「対象の株が割安かどうか」を判断するための指標になります。
「ミックス係数」を割り出すためには2つの「株語」を用いる必要があります。
また…難しい用語が出てくるのか…OTZと思った人も安心してください。今回の「ミックス係数」で使用する2つの用語は、過去の「株語入門」ですでに紹介した用語なのです!
①「PER」
使用する用語その①は「PER」です。
「PER」は第2回の株語入門で紹介した用語で、株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍になっているのかを表す指標でした。
「PER」の詳細については第2回【株語入門】「PER」についてにて説明したので割愛します。「PER」の詳細を確認したい場合は以下の記事を参考に見てもらえると幸いです。
②「PBR」
使用する用語その②は「PBR」です。
「PBR」は第3回の株語入門で紹介した用語で、「現在の株価が1株当たりの企業の純資産の何倍の値段がつけられているか」を見る投資の尺度でした。つまり「PBR」は会社が持っている純資産から株価を判断するものさしでしたね。
※ちなみに画像の例ではBPSよりPBRが小さいので1倍以下=「割安」ですね。
「PBR」の詳細については第3回【株語入門】「PBR」についてにて説明したので割愛します。「PBR」の詳細を確認したい場合は以下の記事を参考に見てもらえると幸いです。
「ミックス係数」の算出方法
以上のことから「ミックス係数」はすでに株語入門で紹介した「PER」と「PBR」の2つの用語を使うということはわかったと思います。
それでは今度は「ミックス係数」の算出方法についてみていきましょう。
「ミックス係数」の算出方法は以下の計算式で求めることができます。
ミックス係数=「PER」×「PBR」< 22.5
上記計算式により「ミックス係数」は、「当期純利益」と「純資産」を掛け合わせることで、現時点の株価の割安性を評価していこうという指標であることがわかるかと思います。肝心の「割安」の基準ですが、ベンジャミン・グレアム曰く「PER×PBRの数値が「22.5」以上のものに投資をしてはいけない」ということなので「22.5」を下回っているもの=「割安」と判断するとよいでしょう。
企業価値は「どのくらいの利益が出せるのか」と、「どのくらいの純資産があるのか」で決まります。前者を見る指標が「PER」、後者を見る指標が「PBR」なので利益面でも純資産面でも、割安で価値ある銘柄をスクリーニングする際に用いられるのがこの「ミックス係数」ということになります。
上記基準を満たす具体的な数値としては「PER15倍、PBR1.5倍程度以下の水準」がおおよその目安と考えても良いでしょう。
しかしながら、この指数はあくまでアメリカ市場での割安性をグレアムが判断する指標であるため、アメリカほど成長していない日本市場に対し「丸々当てはめるのはどうなの?」という疑問もあります。そのことから例えば「優待バリュー株投資」で有名なみきまるさんの著書「優待バリュー株投資入門」でも『グレアムの指標の半分の数値「11.25」以下を投資対象として選んでいる』と述べられているので、個人的にもみきまるさんの「11.25」以下が「割安」を「ミックス係数」を用いる場合の参考指標として「割安」の判断を行うようにしています。
それでは今回も具体例を交えて実際に「ミックス係数」を算出してみましょう。
PER | 9.4倍 |
PBR | 0.93倍 |
9.4倍×0.93倍=8.74
上記計算式に当てはめて計算すると、上記の銘柄の「ミックス係数」は「8.74」で「ミックス係数」的には「割安」ということがわかりました。ちなみに今回の具体例で取り上げた銘柄は優待銘柄の中でも人気抜群の【オリックス】でした。
まとめ
以下が今回紹介した「ミックス係数」(グレアム指数)のまとめです。
- 「ミックス係数」は割安を判断する指標
- 利益面でも純資産面でも割安で価値ある銘柄を見分けられる
- PER×PER=22.5以下がグレアム基準
- 日本株に対してはグレアムの半分(11.25)を意識するが吉かも
以上、今回は今までに紹介した株語の「PER」と「PBR」を使用した応用編「ミックス係数」についてという内容でした。少しでもみなさまの参考になれば幸いです。